地域で取り組むSDGs経営と効果的な情報発信
[情報発信]

錦2丁目 SDGs WEEKsの開催

錦二丁目エリアマネジメント株式会社/なごや環境大学

取り組みの概要

 名古屋市中区に位置する錦二丁目地区では、地区の関係者が連携して地区一丸となってSDGsへの取り組みを発信する「錦2丁目 SDGs WEEKs」を、2021年から毎年秋に2週間ほどの期間で実施しています。期間中、この地区の様々な企業や団体が、SDGsへの取り組みをセミナーやワークショップ、イベントなどで発信を行っており、地区一丸となってSDGsの普及啓発と巻き込みを進めています。2021年には、錦二丁目エリアマネジメント株式会社となごや環境大学が共催で「SDGsまちづくりプロジェクト」を実施し、地区内外の約50団体の協力により、24のプログラムと3つの連携イベントを展開しました。2022年以降も、錦二丁目エリアマネジメント会社の自主開催で継続的な取り組みを実施しており、地域主導型でSDGsの推進を行っています。

  • 錦2丁目 SDGs WEEKs 錦2丁目 SDGs WEEKs

取り組みの経緯や背景

 名古屋市中区に位置する錦二丁目地区は、2000年代当初から地域の再生のために、地域が中心となってまちづくりを進めてきたエリアです。2011年のまちづくり構想の策定以後、あいちトリエンナーレのまちなか会場としての協力、人にやさしい公共空間の実現、空きビルのリノベーション事業など、様々な取り組みを行ってきましたが、2015年に名古屋市の低炭素モデル地区に選定されたことをきっかけとして、街づくりを通じて環境問題や社会問題への対応についても取り組みを行ってきました。
 SDGsへの取り組みとしては、2019年に地区内外の100以上の企業や団体により「錦二丁目SDGsネットワークフォーラム」を開催し、錦二丁目SDGs宣言を採択したことを皮切りに、名古屋市及びなごや環境大学が取り組むSDGsまちづくりプロジェクトへの参画を通じて、エリアの課題解決を通じて様々な関係者とSDGsに取り組むワークショップやセミナーの開催、そして本事例である錦2丁目SDGs WEEKsの開催などを行いました。

  • 2019年「錦二丁目SDGsネットワークフォーラム」および採択された錦二丁目SDGs宣言 2019年「錦二丁目SDGsネットワークフォーラム」および採択された錦二丁目SDGs宣言

取り組み内容の紹介

 錦2丁目SDGs WEEKsはおおきく3つの内容で構成されています。
 1つ目は、地区内外の様々な企業や団体によるプログラムの展開です。2021年には地区内外の50を超える企業や団体の協力により24のプログラムが、地区内の公共施設から映画館、カフェや飲食店に至るまで、様々な場所で実施されました。プログラムは、地区内に立地している日本銀行やハローワークといった公的機関による講座やセミナーの他、地区で活動しているアーティストの展示や映画祭、スタートアップによる実証実験、通行止めによるマーケットイベント(みちにわSDGsマルシェ)など、まちの多様な関係者のパートナーシップで展開されました。

  • 2022年実施プログラムの一部と開催風景の一例 2022年実施プログラムの一部と開催風景の一例

 2つ目は道路を通行止めにして開催する「みちにわSDGsマルシェ」です。公共空間をより安全に快適にするための取り組みを柱としながら、SDGsに関連したワークショップや出店を集め、SDGsをより身近に感じてもらう取り組みとして実施してきました。ケットイベント(みちにわSDGsマルシェ)など、まちの多様な関係者のパートナーシップで展開されました。

  • 2022年の開催概要と開催風景 2022年の開催概要と開催風景

 3つ目は、SDGsの実現に向けた新たなチャレンジであり、毎年この期間にこれまで地区で実現できなかった取り組みや技術の実証実験を行っています。2021年にはこれまで屋外広告物として認められなかった地上機器を活用したエリアプロモーションや農福連携型の都市農業((株)TOWINGとの共同事業)の実証、2022年には凸版印刷(株)の協力によるみちにわマルシェでの地域電子通貨の実証実験など、新しい取り組みを通じて、地域の可能性を広げ続けています。

  • 地上機器によるプロモーション(左)と屋上農園の実証事業(右) 地上機器によるプロモーション(左)と屋上農園の実証事業(右)

効果と展開可能性

 錦2丁目SDGs WEEKsは、普段、同じ地区の中にいても接点のない関係者間で、どのような活動が行われているかを可視化するともに、暮らしや仕事に近い場所でこれらが展開されることで、多様な関係者がそれらを相互理解する機会となっています。また、それぞれの主体が実施できる取り組みはごく一部であっても、地区全体で非常に幅広い取り組みを展開することが可能であり、パートナーシップの重要性を感じることができます。
 まちづくりを進める主体から見ても、毎年のこの機会は、新たなパートナーシップを作る機会にもなり、かつ新しい技術やアイデアを試す絶好の機会ともなります。すでに確立された取り組みだけでなく、新たな試みに挑戦することを通じて、地区の可能性を広げることにも役立っています。
 錦二丁目地区で展開しているこの枠組みは、他地域でも展開することが可能であり、それぞれの特性に合った取り組みとなることが期待できます。地域間での連携やパートナーシップが進むことも期待します。