地域で取り組むSDGs経営と効果的な情報発信
[行動変容]

小浜市立内外海小学校における海ごみ学習

日本財団「海と日本プロジェクト
・CHANGE FOR THE BLUE」

取り組みの概要

 2022年7月15日(金)に「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」(日本財団主催)の一環として、小浜市立内外海小学校5年生及び6年生、先生方とともに、関連団体、企業が参加し海ごみ学習を実施しました。
 学習プログラムとしては、海岸での海ごみを回収するビーチクリーン活動と講座を組み合わせた内容であり、まず1限でビーチクリーンを行ったのち、2限・3限でそこで得られた体験も踏まえながら講座を行いました。

取り組みの経緯や課題の背景

 若狭湾は地形と海流の関係から海ごみが溜まりやすい特徴があります。今回、小浜市を始め若狭湾地域としての海ごみという社会課題を、地域の小学生がビーチクリーン活動を通じて体験し、更に海ごみであったプラスチックは素材が判別できると、コースターやホイッスルなど身近な日用品に生まれ変わるということを現物で理解してもらうことで、リサイクルの価値を認識してもらうことを期待しました。

具体的な取り組み方法

 1限のビーチクリーンは内外海小学校5年生を中心に若狭湾の堅海(かつみ)海岸で行い、海ごみを回収して軽トラック荷台に積み込みます。次に、久須夜(くすや)交流センター (内外海公民館)に持ち込み、廃プラスチック、木材、その他に分別を行いました。

  • 1限目海ごみ回収の様子(堅海海岸にて) 1限目海ごみ回収の様子(堅海海岸にて)

 2限の講座は、アミノアーナから、海ごみの実態を講義する中で、日本地図を見て、若狭湾では海ゴミ漂着が多い地域であること、アミノアーナではこの海ゴミを資源として活用している事例も紹介しました。

  • 2限目講座 アノミアーナ講義の様子 2限目講座 アノミアーナ講義の様子

 3限の講義では、プレシャスプラスチック福井の有する、プラスチックからタイルなど製品を作る技術を紹介しました。3Dプリンターを使って金型をつくり、そこに高温で溶かしたプラスチックを流して製品を作ります。海ゴミが、高度な技術で美しい製品に生まれ変わる素敵な瞬間でした。

  • プレシャスプラスチック福井 プラスチック成型の実演 プレシャスプラスチック福井 プラスチック成型の実演

 次は、リコーの「樹脂判別ハンディセンサー」を使って、目の前の海ごみがもともとどんな素材から作られた製品だったかを識別します。「PE(ポリエチレン)」「PP(ポリプロピレン)」「PVC(ポリ塩化ビニール)」など確実に識別することで、後の製品化や処理が格段やりやすくなります。子ども達は、自分の持ち物や拾ってきた海ゴミの素材を調べていました。

  • リコー樹脂判別ハンディセンサーによる素材判別の実演 リコー樹脂判別ハンディセンサーによる素材判別の実演

取り組みの関係主体と役割

 アノミアーナは2019年から若狭湾地域のビーチクリーン活動及びアップサイクルを推進している団体であり、今回のビーチクリーン活動から講義の一連の運営をアノミアーナのノウハウで企画、実行しました。
プレシャスプラスチック福井は3Dプリンターでの金型製作、卓上型の成型機で、ペットボトルキャップからカラフルなコースター製作を実演しました。
 株式会社リコーは樹脂判別ハンディセンサーでプラスチックの素材判別を実演し、海ごみであるプラスチックには様々な種類があること、また自分たちの学用品も様々なプラスチック素材から出来ていることを理解しました。
NPOや各企業のそれぞれのノウハウや技術を合わせ、ビーチクリーンからリサイクルまで、一貫した学習プログラムの提供を行っています。

効果

 今回の一連の活動と講義、実演で、まずは海ごみの現実課題を把握しました。30分程度の海ごみ回収で軽トラック荷台が一杯になるほど深刻であることを体験しました。次に、回収したプラスチックの素材を判別し、同一素材で成型温度が均一化できてコースターなどのプラスチック製日用品にリサイクル活用できることを体験し、海ごみの素材がわかると資源になることを小学生と周囲の大人たちも学びました。

展開可能性

 この取り組みでは、海ごみを回収しプラスチックの素材まで選別すると、再生材によるプラスチック成型にてプラスチック製の日用品に転用し利用可能になることを実証しましたが、小学生に対しては海ごみという社会課題を体験する学習とともに、プラスチック特性に関わる理科に近い分野の学習にもなっています。また、日本列島および島しょ地域における海ごみ問題に対してもこうした活動が広がり課題解決に近づくとともに、地域自治体及び住民のSDGsに対する関心が高まることが期待できます。

取り組み関係主体

主 催:日本財団「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」
共 催:小浜市立内外海小学校
アノミアーナ
プレシャスプラスチック福井(株式会社ソリッドラボ)
株式会社リコー
協 力:小浜市
運営団体:福丼県プロジェクト

参考URL

✓日本財団「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」
https://uminohi.jp/umigomi/index.html
✓小浜市立内外海小学校
https://edu.city.obama.fukui.jp/uchitomi/topics/2022076609.html
✓アノミアーナ
http://www.anomiana.org/
✓プレシャスプラスチック福井(株式会社ソリッドラボ)
https://www.instagram.com/preciousplasticfukui/
株式会社リコー 樹脂判別ハンディセンサー
https://industry.ricoh.com/handy-plastic-sensor