地域で取り組むSDGs経営と効果的な情報発信
[モニタリング]

SDGsローカルアクションのための
オープンソースツール

アメリカ合衆国ロサンゼルス市

取り組みの概要

 ロサンゼルス市は、2017年より市政にSDGsを導入、地域レベルにおけるアクションを促進するため、2つのオープンソースツール、「SDGsデータ報告プラットフォーム(オープンSDGs)(https://sdgdata.lamayor.org/)」と「SDGs活動インデックス(https://sdg.lamayor.org/get-involved/sdg-activities-index)」を、他の米国の都市に先駆けて開発しました。「オープンSDGs」はもともと国レベルのSDGs関連統計のために開発されたツールでしたが、ロサンゼルス市はそれを市の報告用に適用した最初の都市です。また、「SDGs活動インデックス」は、ロサンゼルス市内でSDGsを推進している団体の検索やデータのエクスポートが可能なクラウドソースで、地域におけるSDGsに関する情報共有能力の向上を目指して構築されました。

  • Fig 1 ロサンゼルス市ウエブサイト(「オープンSDGs」や「SDGs活動インデックス」はリンクからアクセス可能) Fig 1 ロサンゼルス市ウエブサイト(「オープンSDGs」や「SDGs活動インデックス」はリンクからアクセス可能)

取り組みの経緯や課題の背景

 ロサンゼルス市は、2030年までにSDGsを達成するためには、イノベーションとアクションを推進するためのハブが必要であるとの認識のもと、「測る」「巻き込む」「つなぐ」の3つのステップでSDGsに取り組みを始めました。それを可能にするため立ち上げた2つのオープンソースツールが、「オープンSDGs」と「SDGs活動インデックス」です。ロサンゼルス市は、SDGsの進捗度を測定することで、新たな取り組みを最も必要とする分野を特定し、ローカルとグローバルの両コミュ二ティにおいて、SDGsの実践に向けて必要なステークホルダーらをつなげて、パートナーシップの構築を図りました。

課題解決のために活用したツール

 「オープンSDGs」では、地域や国のさまざまなソースからデータを1か所に集め、現在、170以上のローカル指標を使って、SDGsの進捗度に関する報告を行っています。一連のデータは人口統計学上、また地理的な特性上、可能な限り細分化されており、ユーザーは取り残されている可能性のある人々を特定することができます。

  • Fig 2 ロサンゼルス市のデータ報告プラットフォーム(オープンSDGs) Fig 2 ロサンゼルス市のデータ報告プラットフォーム(オープンSDGs)

効果

 「オープンSDGs」には毎月約250人のユーザーがアクセスし、ジェンダー平等や人種など、公平性を重視する取り組みのデータソースとして利用されています。一方、「SDGs活動インデックス」では、市内でSDGsを推進している150以上のローカルプロジェクトが現在掲載しており、立ち上げ以来、約1,000人のユーザーを抱えています。また、ロサンゼルス市は、この2つのオープンソースのプラットフォームを活用することで、国や地域レベルでSDGsを達成しようとする国内外の多くの都市と関わりを持つことができるようになりました。
 2019年7月、ロサンゼルス市は初のボランタリーローカルレビュー(VLR)を発表し、SDGsの8つのゴールに焦点を当てながら、17のすべてのゴールに関係する市の取り組みをマッピングしました。続く2021年9月には、SDGsを推進する新しいデータやプログラムを掲載した2回目のVLRを発表しました。

展開可能性

 どちらのツールもウィキペディアのサイトがあり、地域やコミュニティで活用させたい自治体や団体がこれらのサイトにアクセスしてツールを使用することができます。例えば、ブリストル市(英国)は地域レベルのSDGsに関する活動データの報告に「オープンSDGs」を活用した世界で2番目の都市です。また、「SDGs活動インデックス」は、さまざまな状況に合わせて活用することができます。ロサンゼルス市では、17のゴールすべてに関する公共、民間、非営利、慈善活動等の情報を収集し報告するために使用しています。

取り組み関係主体

 ロサンゼルス市における両ツールの開発は、「ロサンゼルス市長基金」を通じたコンラッド・N・ヒルトン財団からの助成金によって可能となりました。助成金に加えて、地元の主要なパートナーである学術機関からは、160名以上の大学生・大学院生らがボランティアで協力しました。主な取り組み主体は以下の通りです。

 事業主体:アメリカ合衆国ロサンゼルス市
パートナー:コンラッド・N・ヒルトン財団、ロサンゼルス市長基金、オクシデンタル大学、南カリフォルニア大学、アリゾナ州立大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ポモナ大学、オープンデータエンタープライズセンター(CODE)、ロサンゼルス市情報技術局(ITA)、学識経験者、学生支援者